人財育成に心理学を活用してみよう

少子化が進み、人財の確保が難しくなっている昨今。企業がこれからも成長を続けていくためには、必要に応じて新しい人財を継続的に確保していくことも大切ですが、既存の従業員ひとりひとりの強みを育成しモチベーションの高さを維持していくことも重要になります。

そのためにも、企業は従業員に対してどのようなアプローチを行えばよいのでしょうか。
本記事では人財育成に心理学を活用する方法をご紹介したいと思います。

心理学を活用した効果的な人財育成プログラムの設計とは

先日とある企業の社長とお話をした際に、今後の人財育成について相談がありました。
「最近弊社の従業員が数名やめてしまったんですよね。その従業員たちの上司に話を聞いたところ、面談などで、今後のキャリアプランについて相談されていたようです。弊社はタレントマネジメントを導入し、それぞれに合わせたキャリアプランを作成したり定期的な面談等も入れているのですが、やはり難しいですね。今後はどんなことをすればいいか少し悩んでいます。」

そこで、私は心理学を取り入れることを提案しました。心理学は心と行動について研究する学問で、人の感情が行動にどのような影響を与えているかなどを紐解きます。
心理学と一言でいってもいろいろな分野に分かれており、様々な角度から人財育成へアプローチすることができます。

今回は心理学を取り入れたアプローチ方法として、モチベーション理論の応用をご紹介します。

モチベーション理論とは人が何かに取り組もうと思った際の感情や動機を理解するための理論で、職場や教育現場などで人々のモチベーションを高めるために活用されます。

例えば、マズローの欲求階層説は人間の基本的な欲求を段階的にとらえ、低次の欲求から順に満たされることで高次の欲求へと移行し、最終的に自己実現に繋がるとする理論です。
この理論を応用すると、次の5段階の欲求に対し、それぞれアプローチを変える必要があります。

  1. 生理的欲求

健康診断の定期実施や快適な作業スペースを提供することで従業員が仕事に集中できる環境を作ります。

  1. 安全欲求

労働条件を明確にしたりリスク管理を強化することで従業員が安心して働ける環境を作ります。

  1. 社会的欲求

新入社員などに対するメンタープログラムの導入やフィードバックの習慣をつけることで従業員の職場に対する帰属意識が芽生え、チームの一員としてのモチベーションを高めることができます。

  1. 承認欲求

評価制度を明確に提示して公正に評価を行ったり、成果に基づく報酬やインセンティブを支払うことで従業員も努力や成果を適切に評価されたことに対して自己効力感やモチベーションを高めることができます。

  1. 自己実現欲求

個々のキャリアビジョンや段階的な目標設定を明確にし、その達成をサポートするような環境を提供することで従業員はそれぞれの力を十分に発揮できる環境で高いモチベーションを維持することができます。

このように各階層の欲求を満たされることで、従業員のモチベーションを高く維持することができ、仕事に対する満足度とパフォーマンスが向上し、企業全体の成長へと繋がります。そのためにも、従業員一人ひとりのニーズに合わせた人財育成カリキュラムを作成しましょう。

心理学で心理的安全性を高める人財育成を行うためには

「従業員の考えていることを把握するためにも、心理学は効果的なことがわかってきました。他にはどのようなアプローチ方法があるのでしょうか。」

次は職場における心理的安全性の重要性やパフォーマンスに与える影響について考えていきましょう。

心理的安全性とはハーバード大学のエイミー・エイモンドソン教授が提唱した概念で、「チームメンバーが、対人リスクを取ることが安全だと感じる信念」と定義されています。例えば、部下が失敗した際に責めたりせずに認めたり、疑問に思ったことがある際に周りに聞きやすい環境であったり、新しいアイデアをはじめ情報を共有する際に恐れや不安を感じずに発言できる状態を指します。

では、心理的安全性を高めるためにはどのようなアプローチ方法があるのでしょうか。

  1. アクティブリスニングの実践

従業員の意見や考えを積極的に聞きましょう。その際、気になった点は質問するなど相手の意見を正しく理解しようと努めることで、信頼関係を気付くことが出来ます。また、従業員が意見を述べた際は、その勇気や貢献意欲に対し感謝を表現することで、周りも意見を述べることに対する心理的障壁が下がり、良い循環をうむことができます。

  1. フィードバックの実践

プロジェクトメンバー間などでオープンなフィードバックが出来る場づくりをし、お互い意見を出し合える環境作りを行いましょう。その際、フィードバックの内容は問題点を指摘するだけではなく、改善のための具体的なアドバイスなどポジティブかつ建設的に行うことにより、より前向きに意見交換を行うことができるようになります。

  1. チームビルディング活動の実践

プロジェクトチームで定期的にランチを一緒に食べるなど、仕事外でもメンバーがリラックスして交流できる環境を提供することでより親密度が高まりお互いの信頼関係を深めることに繋がります。またプロジェクトで共通の目標を持ち、一緒に課題を解決することで、より絆を深めることが出来ます。

このように心理的安全性の高い環境を提供することで、従業員が自由に意見を述べることができ、イノベーションの促進に繋がり、プロジェクト全体のパフォーマンス向上が期待できます。

人財育成を行うための心理学を用いたメンタルヘルスケア

ここまでいかに従業員のモチベーションを高めることが重要かという部分をお伝えしてきましたが、業務をこなしていく中でミスをしてしまったり、思ったような成果があげられなかったり、高い目標を達成するために自分を追い詰めてしまうといったようなストレスを抱えてしまう場面に直面することも多々あります。

そんな時、ストレスを抱えたまま周りに相談できない状況が続くと精神的に耐えられず休職に追い込まれたり、モチベーションの低下により退職してしまうといった最悪な事態も考えられます。

そのような状況を防ぐためにも心の健康であるメンタルヘルスのケアは非常に大切になります。
では、具体的にどのようなストレス管理技術があるのでしょうか。

  1. マインドフルネス
    マインドフルネスは現在にフォーカスを合わせ自分と都度向き合うことで、現在の感情や状況の整理が出来ストレスの軽減などに繋がります。
  1. タイムマネジメント
    タイムマネジメントはタスクの優先順位を決めて計画を行い、時間を効率的に使って生産性の向上に繋げることが出来ます。

このようにストレス管理技術を活用することで従業員のストレスを軽減し、生産的な職場環境づくりを行うことが出来ます。最近ではオンライン研修もの幅も増えてきているので、学べる環境を提供し、個々のペースで学習できる環境を整えることで、従業員が学びやすく働きやすい企業へと成長することが出来ます。

まとめ

いかがだったでしょうか。

少子化に伴い人財が不足知っている中、必要に応じて新しい人財を確保することも大事ですが、既存の従業員のモチベーションを高め意欲的に業務に取り組んでくれることも重要になります。

そこで、今回は心理学を活用した人材育成についてご紹介しました。今回ご紹介した内容だけではなく、心理学を活用したアプローチ方法はいろいろあるので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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