企業が掲げている目標を常に達成していくために、人財育成に力を入れている企業が増えています。企業全体でボトムアップをはかることも重要ですが、各階層の役職や責任が異なるため、必要なスキルや知識を身に着けるためにも階層別研修は必要不可欠です。
では各階層の人材がそれぞれの役割を遂行するためにはどのような研修を実施すればよいのでしょうか。
本記事では人材育成の中でも階層別研修についてご紹介します。
人財育成における階層別研修の目的と位置付けとは
この間とある交流会に参加した際に、最近階層別研修についての相談が増えているという話題があがりました。
「先日とある企業に訪問した際に、企業が5年目に入り従業員も順調に増えてきて、去年は新入社員研修に力を入れたので、今年は既存の従業員に力を入れていきたいというお話をされていました。現在行っている個々に合わせた人財育成を行う以外にどのような研修があるのか社内で話し合った際に、階層別研修の話題が上がったのですが、どこから導入を進めればいいのか悩んでいるようでした。似たようなお話を別の企業でも聞いたので、最近階層別研修に興味を持っている企業が増えているんですね。」
私の周りでも実際に話題にあがる機会が増えていますが、ほとんどの企業はどこから手を付けていいか悩み、後回しにしてしまっているようです。
しかし企業により導入することが目的となってしまい、本当は必要ないこともあります。
では、階層別研修を行う目的とは何なのでしょうか。
- リーダーシップの発展
様々な階級の中でも上級管理職向けの研修を行うことにより、リーダーシップスキルの強化や戦略的思考の育成を行うことが出来ます。そうすることにより企業を引っ張ってくれる人財を増やすことが出来ます。
- マネジメントスキルの向上
様々な階級の中でも中間管理職向けの研修を行うことにより、チームの効果的なマネジメントやコミュニケーションスキルの向上が期待されます。そうすることにより、チーム作業の効率が上がり生産性も上がります。
- 業務プロセスの理解と実践
様々な階級の中でもまだ役職のない一般従業員向けの研修を行うことにより、具体的な業務プロセスやスキルを習得することが出来ます。従業員全体のレベルアップをはかることにより、企業全体で足並みをそろえ、成長することが期待できます。
- 同じ階層のメンバーの横のつながりを深める
階層が上がっていくと、チームの規模が大きくなり、責任も増えていきます。すると、難しい課題に直面することが多々あるのですが、階層が上がるにつれて上司や先輩も少なくなり、なかなか相談できる相手がいなくなるという現象が起きます。そんな時に、同じような境遇の従業員が階層別研修で集まることで、横のつながりを強化し、助け合える関係を作ることを裏目的とし、①~②の目的に加えるケースもあります。リーダーシップやマネジメントを学びながら、仲間づくりを行うことが期待できます。
階層別研修は組織のビジョンや目標と整合した形で設計されるため、組織戦略との整合性を計ることが出来ます。また各階層のニーズや要求に合わせてカスタマイズして企業に合わせた研修を行うことにより、効果的な学習と成果が得られるようになります。これは従業員にとって、自分自身のキャリアパスに沿った成長の機会としてとらえることができ、役職や責任が変化するにつれて個々の成長と組織の成功に貢献することにもなります。
人財育成にて階層別研修を行う際のカリキュラム構成例
階層別研修を行って、階層別に必要なアプローチを行うことにより、企業全体の戦力アップに繋がることが理解できたと思いますが、具体的にどのようなアプローチが出来るのだろう?と疑問に思った方もいると思います。
今回も階層別研修のカリキュラムの構成例をご紹介したいと思います。
弊社では、入社1年目~5年目までの業種・業態・企業別の成長カリキュラム構築もしていますが、5年目以降の事業成長を生み出すリーダーの成長カリキュラム構築も行っております。
中でも弊社の特徴的なカリキュラムの事例でいくと、「現場のあるあるストーリー」をもとにしたマネージャーのためのケーススタディ研修を行っています。研修に参加する際、どうしてもイメージがわきにくい、わかっているけど実践しにくいといった内容が出てきて消化不良になってしまうというケースが見受けられます。
そのような事態をなるべく減らすために、実施企業様の特徴的な事例やよくある現場の実話シーンを活用したケーススタディーを実施しています。階層別に合わせた事例を取り上げることにより、高い臨場感を得られると同時に現場に入る前の予行演習ロールプレーもでき学習内容の理解力が上がり、現場への不安解消にもつながります。
また「ゴール(Goal)は何か?」「なんのために実施するのか?」を考えたうえで、「計画(Plan)」「実行(Do)」「確認(Check)」「改善(Action)」の順に考えるG-PDCAモデルを活用しながら、現場の出来事に取り組むことにより、主体性や計画力など現場でも実践できる力を身に着けることができます。
このように実例をもとに階層別のカリキュラムを組むことにより、業務に配属される前から心の準備ができるようになり、現場でも慌てることなく的確な対応を行うことができるようになります。
人財育成にて階層別研修運営時のポイント
階層別研修のご説明をすると、知識やスキルの定着のためにも導入したいというポジティブなお返事をもらうことが多いです。
では、階層別研修を運営するために重要なことはなんなのでしょうか。今回は3つのポイントに分けてご紹介します。
- ニーズの把握とカスタマイズをおこなう
各階層の従業員のニーズを正確に把握することが重要です。管理職に必要なスキルや知識は、一般スタッフとは異なるなど各階層で求められているものが異なる場合もあります。活用できないスキルを学ぶといったタイムロスを防ぐためにも、研修内容やフォーマットを階層ごとにカスタマイズすることで、参加者がより関心を持ち、実践的な学びを得ることができます。
- トレーニングの効果測定と改善をおこなう
継続的に研修を行っていく上で、研修の効果を測定し、評価することは不可欠です。参加者である従業員のフィードバックや成果指標を活用して、研修の改善点を把握することにより、参加者のニーズに合わせた研修を実施することが出来満足度が高まります。
また、効果測定も研修の目標達成度や参加者のスキル向上度などを評価するための有効な手段です。この情報をもとに、今後の研修計画を改善することにより、研修の精度も高まります。
- フォローアップと継続的なサポートをおこなう
研修終了後も、参加者である従業員の成長を支援するためのフォローアッププログラムを用意しましょう。定期的な振り返りやフィードバックセッションが出来る環境作りを行うことにより、研修で得た知識の定着やスキルの実践の促進に繋がります。継続的なサポートを行うことにより、研修の持続可能性を確保し、組織全体の成果につながります。参加者が学んだことを日常業務に活用しやすくするための取り組みも重要になります。
このように従業員のニーズを聞きながらカリキュラムを改善したり、研修後も継続的なフォローを行うことにより、従業員も研修の必要性を理解しより真剣に学習に取り組む姿勢を見せるようになることが期待できます。
まとめ
いかがでしたか。
企業が掲げている目標を達成するためには、従業員一人ひとりのスキルアップが重要不可欠となります。
しかし、必要な段階に必要なスキルを身に着けないと、業務に対するモチベーションにも影響が出る場合もあります。
そのためにも従業員に必要なスキルを学べる環境作りを企業が行うことにより、企業全体のモチベーションも向上し、ゆくゆくの企業の売上等につなげてみてはいかがでしょうか。
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